Creation

Yahooニュースより
ダーウィン映画、米で上映見送り=根強い進化論への批判
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/usa/?1252835716

テレグラフの記事より抜粋
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/northamerica/usa/6173399/Charles-Darwin-film-too-controversial-for-religious-America.html
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Movieguide.org(クリスチャンの視点から映画を批評する影響力のあるサイト)はダーウィンを優生学の父と呼び、「人種差別主義者、偏見主義者、後世に大量殺人を残した1800年代の博物学者」と非難した。…彼の「不完全な理論」はアドルフ・ヒトラーに直接影響を及ぼし、「残虐さ、人道に反する罪、クローニングと遺伝子工学」を引き起こしたとサイトは述べた。

クリエイションのプロデューサー、ジェレミー・トーマスは、そのような態度が『種の起源』の公刊から150年後にまだ存在することに驚愕すると述べた。…「アメリカではこれがまだ”取扱い注意”だなんて我々には信じられない。神が6日で世界を作ったことへの大きな信仰がまだある。イギリスの我々にはアメリカの宗教を想像するのは非常に難しい。我々はもうそれほど信心深い社会にはすんでいない。しかしアメリカでは、ニューヨークとロサンジェルスの外側は宗教に支配されている。」
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キャスト
ダーウィン--ポール・ベタニー
ハクスリー--トビー・ジョーンズ
フッカー--ベネディクト・カンバーバッチ
オランウータンのジェニー
原作はランダル・ケインズ
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http://creationthemovie.com/flash/#/trailer/
トレイラーを見てダーウィンがマスター・アンド・コマンダーのマチュリン役に似ているなあと思ったのだけれど、調べてみるとまさにその人だった。マチュリンはいい感じに演じられていたので、この映画でも期待できるんではないだろうか。マチュリン自身、部分的にダーウィンをモデルにしているし、マスター・アンド・コマンダーでもガラパゴス諸島で「種の変化」に気づくようなそぶりを見せる。

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気になるのはハクスリー役の人。どうみてもダーウィンより一回り老けている(本当は一回り若い)。リチャード・オーウェンかと思った。

原作は『ダーウィンと家族の絆』。ダーウィンの伝記としてはちょっと家族愛を強調しすぎていると感じたのだけど、映画化するにはちょうどいいかもしれない。日本では公開されるのかな。

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JUDGMENT DAY まとめ

まとめ
リンク
米PBS番組NOVAのJUDGMENT DAYオフィシャルサイト
およびオンライン動画とトランスクリプト
オフィシャルサイトにはジョーンズ判事へのインタビューなどがあり充実しています。

参考にさせていただいたサイト
Kumicitさんの忘却からの帰還JUDGMENT DAY当該エントリのほか、還元不可能な複雑さについて、ミラーのねずみ取りの例についてなど、全面的に訳の参考とさせていただきました。
映画『風の遺産』について入間洋さんのホームページこちらのレビューを参考にさせていただきました。

訳のリスト
JUDGMENT DAY (1)
JUDGMENT DAY (2)
JUDGMENT DAY (3)
JUDGMENT DAY (4)
JUDGMENT DAY (5)
JUDGMENT DAY (6)
JUDGMENT DAY (7)
JUDGMENT DAY (8)
JUDGMENT DAY (9)
JUDGMENT DAY (10)
JUDGMENT DAY (11)
JUDGMENT DAY (12)
*訳は意訳が多く、いい加減に訳した部分は原文を併記していますが、自信を持って誤訳している部分も多いと思いますので、できる限り原文を参照ください。特に微妙なニュアンスは前後の文脈から勝手に補っている部分もあります。
*断りなく訳やレイアウトを訂正することがあります。
*誤訳の指摘は大変うれしいです。

感想
専門家の議論は本やウェブサイトで簡単に知ることができるけど、当事者の生の声はなかなか聞けないのでとてもおもしろかった(NHKあたりが買い取って放映しないものか…)。運動の指導者をのぞいて、市井の創造論者やIDの支持者の多くは誠実であることに(少なくとも自身の信仰に対しては誠実であることに)疑いはないと思う。だからいわゆる”調停主義者”の、科学教育の際には宗教・信仰にも配慮すべしという主張もよくわかる。

番組は「裁判のドキュメンタリ」であって、進化のプロセスそのものを丹念に説明する形にはなっていないし、ID側のいわゆるNegative argumentの無意味さにもあまり突っ込まれていなかった 。被告が嘘をついたことが判決に大きな影響を及ぼしていたようだ。

ところでこのNegative argumentに関連して、日本でも「選択と変異」以外の進化の要因があるはずだと感じている人が多いんじゃないだろうか。翻訳に当たって参考にさせていただいた入間洋さんも(残念ながら)そのお一人であるようなのだが、たぶんこれは「選択と変異」がとてもシンプルな意味で解釈されているからではないかと思う。このフレーズは自然選択のエッセンスを端的に表しているけれど、それだけですべてではない。「気候の変化だけで細胞の構造のような複雑な構造が進化するはずがない」というような直感は正しい。だけど環境には気候だけでなく生態的な状況も含まれるし、一つの表現型に複数の選択圧が加わるのが普通だし、種内選択も見落とされていることが多い。でもこういうことって、学校では習わないんだよなぁ。

JUDGMENT DAY (12)

最終回:最終弁論
ナレータードラマ
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6週間のあと、ドーバーの町がそうなったのと同じように、真っ二つの最終弁論で裁判は結審しました。

ロスチャイルド:「私が大目に見なければならないことは何でしょうか?私の修正第一条の権利のちょっとした侵害でしょうか?いや、大目に見るつもりはありません。私が思うにその人々がしたことは明白です。それは私を憤慨させます。」これはドーバー教育委員の反進化・ID支持のポリシーによってコミュニティと娘の高校に打ち込まれたくさびに立ち向かった一人のドーバー市民、フレッド・キャラハンの発言です。この裁判はIDが憲法違反であると確認しました。それは本質的に宗教的な主張で、創造論の新しい形です。単に宗教的な人々が生み出しただけではありません。宗教的な含みがあるだけでもありません。それは、本質的に宗教です。いんちきは止めさせなければなりません。

パトリック・ギレン:要するに、判事、私は謹んで提案します。4つのパラグラフからなるIDの声明--ダーウィンの理論とは異なる生命の起源を説明し、この問題に関する本が図書館にあることを学生に教える--を読み上げることの主な目的や主な効果が、いかなる合理的な基準によっても合衆国の憲法修正第一条の国教条項の侵害となることを、原告は立証できなかったと記録の証拠は示しています。

ですがその代わり、証拠は被告のポリシーが科学教育を推進させる主な目的や効果を持つと示します。学生に新しい科学理論があると気づかせることで、そしてそれは新しい科学的パラダイムへの魅力的な展望を開くでしょう。

ジョーンズ判事はすぐに判決を下すと述べました。裁判終了の四日後に、ドーバー市民はIDへの彼ら自身の評決を下しました。教育委員の選挙にはたくさんの人が足を運びました。ドーバーの人々は僅差で大掃除を済ませました。9議席のうち選挙にかけられた8議席はすべて反IDの候補に占められました。そのなかには裁判の原告でドーバーの元科学教師、ブライアン・リームもいました。最小得票の候補のひとりはアラン・ボンセルでした。

熟考中の判事とドーバーの選挙はニュースで取り上げられ、テレビ伝道師のパット・ロバートソンの怒りを買いました。

パット・ロバートソン(クリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワークの創設者で会長):ドーバーの善き人たちへ言いたい。もしあなた方の地域を災害が襲っても神に助けを求めてはならないと。あなた方は街から神を拒絶したのだから。

ロバートソンが先に判決を下しましたが、ドーバーと国はジョーンズ判事の判決をさらにもう一ヶ月待たなければなりませんでした。

2005年12月20日、ジョーンズはメールで意見を発信しました。

タミー・キッツミラー:私はその日仕事に出ていました。正午までにそうなるとほとんどわかっていたので、仕事中に電話を待っていました。

ウォルザック:決定はコンピューターで伝えられました。10時37分だったと思います。

ロウリー・リボ:私の後ろの席のコラムニストは…私ははじめからそれを読んでいましたが、彼は肩越しに見ていて、私に向かって叫びました。「最後を見せろ!最後を見せろよ!」

ジェニファー・ミラー:スパーさんが、バーサ・スパーがドアをノックして授業が中断したのを覚えています。

139ページの意見はIDが科学ではないと判断していました。宗教的な理由のためにそれが導入されたと結論し、ジョーンズ判事はドーバーの科学の授業で「IDを教えることは憲法違反である」と決定しました。

ジョン・E・ジョーンズIII:被告とID支持者の多くが仮定する根本的な原理は全く間違っています。彼らの前提は、進化の理論が至高の存在への信仰、そして一般的には宗教と全く相容れないというものです。たしかにダーウィンの進化の理論は完璧ではありません。しかし科学理論がすべての点をまだ説明できないという事実は、宗教に基づくような検証不可能なほかの仮説を科学の授業に滑り込ませる口実として使われてはなりませんし、確立された科学的な主題をゆがめて伝えるために用いられてもいけません。IDを支持した教育委員はドーバー市民に対して十分なつとめを果たしませんでした。

判事は教育委員会の決定を「息をのむほどの愚かさ」と呼んで引き合いに出しました。彼は何人かの委員が「証拠を隠し、IDのポリシーの陰に隠れた本当の目的を偽るために」嘘をついたとあばきました。

ジョーンズ判事:証拠の破壊的なまでの重みは委員会が科学の授業に創造論を持ち込もうと試みたことを示します。IDは単に彼らがそうするために利用した手段でした。

バッキンガムとボンセルが宣誓で嘘をついたことに対し、ジョーンズは連邦検事に偽証の容疑で調査を行うよう勧告しました。そして「裁判での膨大な証拠は」と彼は続けます「IDが宗教的な見解で、創造論の単なるラベルの張り替えで、科学理論ではないと立証した」。

ジョーンズ判事:ガンを治療しようと試みている時代に、パンデミクスを防ごうと試みている時代に、合衆国の先端で科学と数学の教育を保とうと試みている時代に、悪い科学を9学年の生徒に教えようとすることはほとんど理にかなっていないと私には思える。ゴミを入れてもゴミしか出てこないということです。私たちは科学的発見から毎日恩恵を受けていますが、悪い科学は誰の利益にもなりません。

学区は科学カリキュラムでIDを教えることを永遠に禁じられました。当局は原告の弁護料を支払うように命じ、それは合計で100万ドル以上に上りました。そしてIDに反対する新しい教育委員の選出は、判決に対して上訴が行われないことを意味しました。

判決の後、タイムマガジンはジョーンズ判事をその年のもっとも影響力のある人物100人に選びました。しかし判事の決定にみんなが満足したわけではありませんでした。

ビル・バキンガム:はっきり言えば、彼はバカ[jackass]だと思います。彼はロースクールではなくてバカ大学[clown college]に行ったのでしょう。でなければロースクールには行ったけど憲法の講義の間、眠っていたのでしょう。彼の決定は法と一致しません。彼は法廷にいるべきだと思いますが、その法廷はリングリングブラザーズのサーカスの中にあるべきです。彼は…もううんざりです。

アラン・ボンセル:それは私を悲しくさせます。私たちは委員として、ドーバーを可能な限り最高の学区にしようとしました。それが私たちの目標でした。少なくとも私の目標は。私は…私たちは最高のものにするために試み始めていたところでした。

リチャード・トンプソン:まずはじめに、あなたは私たちが公正に裁判に参加したと言わなければならないと思います。私はまさに、彼の見解の広がりに妨害されたのです。彼がしなければならなかったのは科学の問題の決定でしたが、それを超えていきました。

ディスカバリー研究所も不満でした。判決の直後に、裁判から距離をとり、判決を
「激しい司法積極主義」と批判する123ページの本を出版しました。判決はジョーンズ判事が想像した以上に論争的でした。裁判のあと、彼は殺すと脅迫されました。彼らの家族は24時間の保護下に置かれなければなりませんでした。

ジョーンズ判事:国教条項の裁判で、私が身体的な脅迫を受けることになるとは夢にも思っていませんでした。しかしドーバー裁判ではそれが起こりました。

新聞記者ロウリー・リボにとって判決はあま苦いものでした。彼女の父は判決の9日後に世を去りました。ロウリーは進化の強い支持者のままでしたが、彼らがこの不一致について和解することがありませんでした。最近、彼女の家族は父のラジオ局の運営を引き継ぎ、ロウリーはウィークリーショーを始めました。

ロウリー・リボ:こんばんは、みなさん。今日はジョニー・キャッシュの話を聞きましょう:「私は毎日イエスと話す」

最終的に、おそらく誰もが同意できることがあるでしょう。

ヴィトルド・ウォルザック:問題は確かに解決したわけではありません。我々が学んだことの一つは進化の反対者は継続的で粘り強いと言うことです。彼らはまだ向こう側にいます。

フィリップ・ジョンソン:私はある時点でこう考えました。我々はこの問題に関してブレイクスルーをして、私の生涯で科学界を変えるとね。今、私はカウンター攻撃を受けていくらか酔いが覚めました。それで私はそれがより長期的なプロセスであると見なしています。

ジョーンズ判事:私が思うに、進化に関して継続的な意見の不一致と論争が合衆国には存在すると歴史は私たちに教えてくれています。私の判決は決してその頂点ではありません。何世代にもわたって続くと思います。
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終わり

JUDGMENT DAY (11)

第十一話:文化の衝突
ナレータードラマ
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ガリレオ、ニュートンや他の人々の業績によって科学革命は、科学から超自然的説明を追放しました。しかし一部の人はまだ超自然の居場所があると考えています。

スティーブ・フラー:遺伝学がまさに始まろうとしていたとき、どうにかして我々の持つ形質の原因となる遺伝要因が存在するという考えが、その要因が何であるかはまだ誰も確認できませんでしたが、ありました。初期にはそれも超自然的であると考えられていました。つまり超自然主義が科学の一部ではなかったと言うことはないのです。実際にそうでした。それはしばしばとても実りのある結果に結びつきました。ですが進化論者は歴史のとても重要な部分を無視するか、忘れ去ろうとしているように思えます。

しかしバーバラ・フォレストはID運動の目標が全く科学的ではなく、その目標はインターネット上で見つかったディスカバリー財団の秘密の文書で明らかにされると証言しました。

フォレスト:彼らの目標は「くさび」文書で完全に明らかにされます。それは約9年前、1998年に書き上げられた戦略指示書です。彼らの目標は社会への進化論の全ての影響を完全に打倒することです。彼らはその影響が例外なくネガティブだと考えています。この文書はアメリカの文化を、彼らが適切だと信じる宗教的基盤を持つ状態に完全に変革したいと考えていることを表しています。彼らは生命のあらゆる領域が、彼ら自身の宗教的な好みによって支配されることを望んでいます。この文書でそれがとてもはっきりと現れています。

くさび文書によれば、ダーウィンは「人を道徳的で霊的な存在ではなく、動物として描いて」おり、人々に「客観的な道徳規準」を捨てさせました。

文書はこの遺産を打倒するために野心的なアジェンダを述べています。「ID理論を科学における優位な展望と見なし」、「デサイン論を我々の宗教的、文化的、道徳的、政治的人生に普及するのを見ること」

それはフィリップ・ジョンソンによって書かれたのではありませんが、彼がくさび戦略と呼んで考えたさまざまなポリシーの産物でした。

フィリップ・ジョンソン:私はそれが不吉で陰謀的に聞こえることがあるのを分かっています。しかしくさび戦術は私が説明したように、全くシンプルで、無実です。丸太を割るときにくさびを使いますが、その時鋭利なくさびから使うでしょう。私の仕事は鋭利なくさびです。ダーウィンのお話には本当になんらかの根本的な誤りがあるという主張に耳を傾けてもらうために、私の学術的な経歴と法学者としての能力を使います。しかし私は持ち上がる全ての疑問に答えられるわけではありませんから、科学的な専門知識を要する問題に取り組んでくれる、太いくさびとなる他の人々を必要としています。

マイケル・ビーヒーや他の人はくさびの広い縁を担っています。ジョンソンは一世紀と半に渡るダーウィンの理論のネガティブな効果と彼が見なすものを、くさび戦術が転覆させることを望んでいます。

ジョンソン:ダーウィンのお話には、それが受け入れられたとき、膨大な文化的な影響がありました。そのお話が信用されなていなければ、文化的なインパクトは逆転していたでしょう。そして別の方向に向かう文化の変革があったでしょう。

マシュー・チャップマン:膨大な証拠がまとめ上げられ、それからあらゆる科学分野、特に遺伝学で確かめられている素晴らしいことがあります。でもそれは他の人々からは真実とは無関係の理由で否定されています。これは裁判を通して明らかとなりました。

それで、判事の方を向いて考えはじめました:「彼はどうやってここから逃げ出すつもりだろう?」 だって彼は、共和党員ですし、ジョージ・W・ブッシュに任命されていましたからね。ブッシュは進化についてまだ結論は出ておらず両方の理論が教えられるべきだと言っていました。それで「この惨めな人はどうするつもりだろう?」と考え始めました。

ディスカバリー財団の、IDの、あるいは『パンダと人について』の著者の動機が何であれ、ジョーンズ判事はドーバー学区教育委員会の動機に集中しなければなりませんでした。

ハービー:バッキンガムさん、何が証拠物件P-145として認められたか、あなたにお見せします。モニターをご覧いただきましょう。

バッキンガム(ニュースクリップ):生物の教科書として私に提示された本には最初から最後までダーウィニズムがありました。
ニュースキャスター:ウィリアム・バッキンガムはドーバー学区のカリキュラム委員会の委員長です。彼は教育委員でもあります。彼は授業で創造論が教えられる必要があると固く信じています。
バッキンガム(ニュースクリップ):私の見解では、ダーウィンを教える事は結構ですが、他の何かでバランスを取らなければなりません。創造論のようなもので。

バッキンガム:これはIDのごく初期の頃です。それで、私は”ID”のような単語に思いが巡らなかったのです。ただ考えられなかっただけです。カメラが回っていたので、私は”創造論”と言ったんです。後から考えれば、何も言うべきではありませんでした。しかし創造論と言ってしまいました。

バッキンガム:私は戸惑ってしまいました。そしてただ純粋に間違って話しました。人為的なミスをしてしまいました。
ハービー:フロイト的失言、ということでしょうか?バッキンガムさん。
バッキンガム:フロイト的失言ではありません。人為的ミスです。

それはバッキンガムの唯一の過ちではありませんでした。バッキンガムとボンセルは宣誓証言で高校に『パンダ』の60部を寄付したのが誰だか分からないと述べました。しかしバッキンガムが証言台に立つ頃には別の話が浮かび上がってきました。

バッキンガム:ある日曜の朝、私は教会の前で立ち上がりました。私たちはその本を買うために1,100ドルを見つけなければなりませんでした。私は「誰にもお金を求めません。何かを欲しいと言っているわけではありません」と言いました。でも私たちはその教会の祈りの力を信じていました。それでこう言いました。「お金が手に入るよう、ただ祈りましょう」

バッキンガムの祈りは教会の会員からの寄付によって報われました。

バッキンガム:それで私と妻の個人口座にお金を預けました。そして本を買おうとする誰かに譲れるように小切手を切りました。その時には、コミュニティのビジネスマンがお金を受け取り本を買い学校に寄付することに同意したというのが私の理解でした。その時にはビジネスマンが誰だか知りませんでした。

しかし裁判ではバッキンガムは小切手をアラン・ボンセルに渡したこと、また本を買った無名のビジネスマンとはアラン・ボンセルの父親だったことを認めました。これはビル・バッキンガムとアラン・ボンセルが行った元の宣誓証言と矛盾していました。

スティーブン・ハービー:宣誓で嘘をつくのは重大な犯罪です。私たちはそれで大統領を弾劾したのですから。そうした人はいつでも刑務所行きです。明らかな不一致を示す証言があったようでした。私には彼らの心の中をうかがうことはできませんが、それに嘘の大きさを知ることもできませんが、我々はその情報を聞き出すための質問をし、彼らがそれを隠していたことだけはよく知っています。

リボ:「ああなんてこと、ジョーンズ判事はアラン・ボンセルを殺しそう。私は、私は見れないわ」と本当に思ったことを覚えています。それから判事の顔は真っ赤になり、こう続けました:「なぜ『パンダと人について』を買う金がどこから来たのかを黙っていたのか、言えますか?」。アラン・ボンセルはジョーンズ判事の厳しい質問で少しナーバスになってきました。手をゆらし始め、どもりだしました。以前には持っていた自信のある落ち着きを完全に失っていました。最後に彼はこう言っただけでした「その…失言でした」。

アラン・ボンセル:私が教育委員会にいたとき、学区で一分間の声明のようなことをさせたとき、連邦裁判のなかに立つことを考えるなんて絶対にあり得ませんでした[Never in a million years did I ever think that we’d…you know, I’d be in a federal lawsuit when I was on the school board or have the school district in something like that, over a one minute statement, a one minute statement.]。

ビル・バッキンガム:私は教師に聖職者か…何かの牧師か…在家牧師やそのようなものになるよう要求したわけではありません。ただ理論があることを子どもたちに教えさせようとしただけです。子どもたち自身に調べさせ、彼ら自身で答えを見つけるようにさせただけです。

JUDGMENT DAY (10)

第十話:教会と政府の分離
ナレーターはこの色、ドラマはこの色
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裁判を通してジョーンズ判事はIDが科学かどうか、彼がどう考えているのかをほのめかしもしませんでした。しかし科学だけが法廷の唯一の問題ではありませんでした。

裁判のクライマックスは、別の方向の証拠から生じた問題への判事の判断でした:「IDを学校教育に持ち込んだとき、ドーバー教育委員の動機は宗教だったか?」もしそうなら、憲法修正第一条、政教分離を命じた国教条項に違反します。

ハービー:勝つためには、教育委員会が宗教を推進する目的で行ったこと、あるいはそのポリシーが宗教を推進する効果を持つことを立証しなければなりませんでした。目的か効果かのどちらか、どちらか一方を。

ジョーンズ判事:国教条項は一つの宗教を他の宗教よりも推進する法律を議会は通してはならないと述べています。それはいかなる州の振る舞いにも、この裁判では教育委員会の行動にも及びます。

しかし教育委員会が宗教を動機としていたという証拠にはどんな物があったでしょうか?裁判の数ヶ月前、バーサ・スパーは『パンダについて』の60部の包みを取りだしているとき、手がかりを見つけました。

スパー:私は当局から包みを開けて本を数え、スタンプして番号を振るよう命じられました。箱の底にカタログを見つけました。彼らがこの問題に本でなんと言っているかを知るためにカタログを開きました。そしてカタログの一番はじめに…「創造科学」と書いてありました。これはかなりの動かぬ証拠で、この先どこかで私たちの役に立つでしょう。

この情報はNCSEに渡されました。NCSEはIDをドーバー高校に入れないよう論争を行っていた弁護士たちと協力していました。

『パンダと人について』が問題の中心であると知って、ニック・マツキは本を調査しました。

ニック・マツキ:訴訟となったこの問題が提案され『パンダ』が採用されたとき、『パンダ』がこの裁判の論点にかんしてIDの象徴となったことは明らかでした。そして本の来歴が重要になりました[* the history of that book became important,the arguments it made became important]。それで裁判に備えてこの本を細かく分析すると約束しました。

マツキは『パンダ』を探りました。ページ毎に調べ、その経歴から何を掘り出せるかを見るために、インターネットを漁りました。ある日、NCSEのアーカイブをひっくり返しているとき、マツキは1981年の創造論者の学生新聞を発見しました。

一面の一番下に、「公平な生物学の教科書が計画された」という題の小さな記事を見つけました。その記事はチャールズ・テクストンという人物に触れていました。現在、彼はディスカバリー財団のフェローで、当時は「進化と創造の双方」を示した本に取り組んでいました。

ニック・マツキ:アカデミックエディターはチャールズ・テクストンでした。彼はパンダ本のエディターでもあります。広告がパンダプロジェクトに触れていたことは明白でした。興味深いのは、最近の用語である「IDと進化」ではなくて「創造と進化」の本について述べていたことです。

『パンダ』が創造論の本として始まったことを示せたら、IDは単なる創造論の焼き直しであることを示唆し、したがって本質的に宗教だと見なせるでしょう。マツキはこの情報をエリック・ロスチャイルドにメールで送りました。彼は即座にパンダの出版者に令状を送り、本が印刷される前に書かれたあらゆる草稿を集めました。数ヶ月後に、彼らは二箱の資料を受け取りました。弁護士はそれをバーバラ・フォレストへ送りました。哲学教授で著述家、そして長年IDを追っており、彼女は裁判で証言することになっていました。

バーバラ・フォレスト:まったくもう、そのふたつの箱には7,000ページもの文章が詰まっていたんですよ。資料を持って座って、ぱらぱらめくり始めなければなりませんでした。朝から晩までそうしました。

さんざん掘り起こしたあげく、彼女は捜し物に行き着きました。創造論を公立学校の科学の授業で教える事は憲法違反であると最高裁が判断した1987年のエドワーズ対アグイラード裁判をまたいだ、パンダの二つの草稿が文書の山に埋もれていました。草稿の一つは判決の前に書かれており、もう一つはちょうどその後に書かれていました。

バーバラ・フォレスト:1987年の最初の草稿では、それはエドワーズ以前のものですが、創造の定義はこのようになっています。「創造とは、知的な創造者の作用を通して、その顕著な特徴が完全なまま、生命の様態が突然始まったことを意味します:ヒレと鱗を持った魚、羽、クチバシ、翼を持った鳥、そのほかのもの」 同じ定義がエドワーズ判決の後のこちらの草稿にも、「IDとは、知的な作用を通して、その顕著な特徴が完全なまま、生命の様態が突然始まったことを意味します:ヒレと鱗を持った魚、羽、クチバシ、翼を持った鳥、そのほかのもの」 全く同じ定義が、一つは創造論の言葉で、もう一つはIDの言葉で表されています。

ニック・マツキ:誰もがIDはラベルを貼り替えられた創造論だと言いました。

ロスチャイルド:それは多分裁判で最高の証拠の一つとなりました。

バーバラ・フォレストの証言はドーバー教育委員会が授業に宗教を滑り込ませようとしたことの強力な論拠になりそうでした。そして『パンダと人について』の草稿を比較する時に、フォレストは著者が明らかに急いで改訂したことを発見しました。

フォレスト:この原稿を洗い流すときに、彼らは全ての語をうまく置き変えることができませんでした。私は「創造論者:creationists」という単語を見つけました。それから単語全体を置き変える代わりに、彼らはこう[単語の真ん中だけを選択]しました。それから「デザイン支持者:design proponents」と貼り付けし、design proponentsの最初にCが、最後にistsが残りました。

ニック・マツキ:この移行形態の正確な単語は「Cdesign proponentsists:創デザイン支持者論者」です。誰でもこれを創造論とIDの「ミッシングリンク」と見なせます。移行化石の直接的な物証を持っている事になりますね。

バーバラ・フォレストの証言は『パンダ』の創造論者に連なる系譜を辿っただけではありませんでした。キリスト教雑誌のインタビューを引用して、フォレストはID運動の指導者の一人、ポール・ネルソンに個人的な見解を述べさせました。

フォレスト:彼がされた質問はこうでした:「IDは単なる進化論批判ですか、それとも何かを提案できますか?それは人が知る必要がある何かを提案できますか?」彼の答えはこうです:「確かに、IDコミュニティに直面する最大の問題は、成熟した生物学的デザイン論を発展させることです。我々には現在のところ、そのような理論がありません。それは確かに問題です。理論無しでは研究の焦点をどこにあわせるべきかを知るのは非常に難しい。現在のところ、一袋の[a bag of]強力な直観と還元不可能な複雑さのようなわずかな概念がありますが、普遍的な生物学的デザイン論がまだありません」

ヴィトルド・ウォルザック:彼女が法廷に持ち込んだ証拠はID運動の見せかけを本当に反論できない形で暴露しました。つまり彼女は彼ら自身の言葉をつかって、彼らが書いたことと言ったことを用いて、彼ら自身がそれは科学ではないと知っていることを示しました。

それから証言台でマイケル・ビーヒーは彼が科学をどう定義しているかを質問されました。

ロスチャイルド:ビーヒー博士、あなたの定義を用いればIDは科学理論です。間違いありませんか?
ビーヒー:はい。
ロスチャイルド:同じ定義の元で、占星術は科学理論です。あなたの定義では。違いますか?
ビーヒー:私の定義では、科学理論とは観察可能な物質的データと論理的推論を示すかそれに焦点を当てることで提案された説明です。現在では間違っていると我えられる多くが科学の歴史を通して存在しますが、それらは私の定義にあいます。ええ、占星術はたしかに、そうです。光の伝播のエーテル理論もそうです。他の多くの、他の多くの理論も同様です。
ロスチャイルド:エーテル理論は捨てられましたね?
ビーヒー:その通りです。
ロスチャイルド:しかしあなたは明らかにしました、あなたの定義の元では、IDを許す定義の元では、占星術もまた科学理論だと?
ビーヒー:ええ、その通りです。

ウォルザック:いいですか、科学たらしめているルールをゆるめるとき、超自然や神を認めるとき、あなたは本当に、ここ4、500年にわたって我々の文明が証明した、科学を進歩にとって極めて重要な物としていることを破壊しているのです。科学革命の前に戻ろうとしているのです。わかりますか、それはかなり恐ろしいことです。

JUDGMENT DAY (9)

第九話:信仰と理性
ナレーターのセリフをこの色に、ドラマの部分はこの色にかえてみた。
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しかし還元不可能に複雑なのは微小な生物だけではないとビーヒーは証言しました。進化は私たちを病気から守る器官と細胞のネットワークの説明ができないと彼は言います。

ミューズ:進化の理論は、特に自然選択は、免疫系のような防御装置を説明できましたか?
ビーヒー:いいえ。
ミューズ:それは問題でしょうか?
ビーヒー:間違いなくそれは問題だと思います。しかしダーウィン的進化が単純に事実だと思っている他の科学者は彼らの理論にとって何の問題であるとも考えていません。
ロスチャイルド:ダーウィンノブラックボックスの138ページ、二番目のパラグラフを引用させていただいても?あなたが述べたのはこうです。「本やジャーナルで高く見ることも、低く見る事もできます[We can look high or we can look low in books or in journals]が結果は同じ事です。科学文献は免疫系の起源の問題に答えません」

ロスチャイルド:私がしたことは、どのように免疫系が進化したか、非常に洗練された解説をした文献を、証言台に積み重ねることでした。そして彼の主張を考慮して、これに返答するよう求めました。

ロスチャイルド:さてビーヒー博士、科学文献は脊椎動物の免疫系の起源を説明しないというあなたの断定にこれらの文献は反論しています。

ビーヒー:いいえ、間違いなくそんなことはありません。私の主張はそれらの文献が複雑な生化学システムがどのようにランダムな変異と自然選択によって進化したのかを詳細に厳密に説明していないと言うことです。これらの記事は説明していません。

ニック・マツケ:それからこう言い始めました:「では、あなたはこの本をお読みになりましたか?ビーヒー博士。」 そして彼はビーヒーの証言台に本を積み重ね始めました。免疫系の進化的起源の科学文献の山によってビーヒーは小さく見えました。

ロスチャイルド:これらすべての熱心な科学者は何年もかけて、次々へと記事、章、本を書き、脊椎動物の免疫系がどのように進化したのかを説明しました。でも、彼らの誰もあなたを満足させられなかったと?

リチャード・トンプソン:それは弁護士のトリックです、純粋にトリックです。マイケル・ビーヒーは答える前にその本を一つずつ読めたでしょうか?完全に演出です。

ビーヒー:ロスチャイルドさん、この本をどうぞ。かなり重いですが。

弁護側には三人の専門家の証人がいました。証言の最終日、弁護側の最後の証人が、今や誰にもおなじみの生物について話を始めました。

スコット・ミニック:私はスコット・ミニック博士です。アイダホ大学の細菌学の准教授です。

ミューズ:ミニック博士、分子レベルでデザインの例を教えていただけますか?
ミニック:これは細菌の鞭毛です。これは私が研究しているシステムです。
ジョーンズ判事:あー、それはすでに見ました。
ミニック:知っています。
ミューズ:もう少し分かると思います、判事。
ミニック:私はザザ・ガボールの5番目の夫のような気分です。古い格言が言うように、「私が何をしたらよいのか分かっているとあなたは知っている、しかしそれを面白くすることができない:You know I know what to do, but I just can’t make it exciting.」でも試みてみましょう。

ミューズ:あなたの関心と研究は鞭毛に専門化されていますね。正しいですか?
ミニック:その通りです。
ミューズ:そして鞭毛の実験をした?
ミニック:しました。
ミューズ:それに関するピアレビューの論文を書きましたか?
ミニック:はい。
ミューズ:ではミニック博士、よく取り上げられる告発は、そしてこの裁判で原告側の専門家が取り上げたのは、IDが検証できないと言うことです。それは検証不可能ではありません。この主張に同意していただけますか?

ミニック:いいえ検証不能ではありません。マイク・ビーヒーから引用します「実際にIDは直接に実験的な反論を受け入れます。その主張に反論するために科学者はラボに行って鞭毛を欠いたバクテリアを適当な選択圧の元に置き、10,000世代も培養して鞭毛やあるいは何らかの同等に複雑なシステムが生まれるかどうかを見ることができます。もしそれが起きるなら私の主張は綺麗さっぱり反証されるでしょう。」
ミューズ:それはあなたの実験ですか?
ミニック:それについて考察しています。興味をそそられています。私はそれが起きるとは期待していません。でもそれは私の偏見でしょう。
スティーブン・ハービー:ではあなたはIDがテスト可能だと主張されますか?
ミニック:そうです。
ハービー:IDは、あなたによれば、まったくテストされません。あなたもビーヒー博士も、IDをテストするためにあなた自身が提唱したようなテストを実施しませんでしたから。ちがいますか?
ミニック:では進化の主要な特性について話を向けさせてください。それらはテストされましたか?私が言っていることがわかりますか、スティーブ?それは両側の問題です。

弁護士が裁判で争い続けたように、IDと進化の衝突はドーバーに影響を与えました。地元の新聞記者ロウリー・リボは証言を毎日傍聴しました。そして、対立は彼女と父の間を引き裂き始めました。

ロウリー・リボ:父は神が科学の授業の中に無ければいけないと信じていました。父は科学を信じていませんでした。そして私のことをとても心配していました…私は進化を信じていましたから。父は言いました。「では君はほんとうに我々が猿から生まれたなんて信じているのか?」 その時私は裁判でかなり体調が良くなかったですから、本当に忍耐を失っていました。たぶん父との間に持っていなければならなかったのでしょうけど。それで、こう言いました、つまり、「ええ、進化を本当に信じているわ、お父さん」とね。それで私たちは毎朝口論しました。

あなたが天国と地獄を信じているのなら、そして救済されなければならないと信じているのなら、他の何も問題ではないでしょう。憲法修正第一条も、科学も、理性的な議論も。重要なことは、地球で一番愛している人と再会するかどうかだけです。

レイ・ムマート:人が生命の下等なものから進化したと言う伝統的な進化のダーウィンの概念を教えることは、私にとって顔を平手うちされるようなものです。私としては、人間から尊厳を奪い去るようなものだともいます。人間に尊厳を与えていることは、我々全員か神に似せられて作られたと言うことです。彼は創造主です。意図的に、デザインして世界を作りました。現在の教育制度が人間性について異なることを考えるよう若者に刷り込んでいることには、とても困惑させられます。

ケネス・ミラー:私がローマカトリックだと言うことを秘密にしたことは今まで一度もありませんでした。カトリック教会の学識の伝統は、真実は一つであり、科学と宗教は最終的に調和していなければならないと述べていました。しかしそれは信仰を科学的な提案にするということではありません。私が思うに、多くの人がそうしているように、信仰と理性はどちらも神からの贈り物ではないでしょうか。もし神が実在するなら、信仰と理性は対立するよりも互いを補わなければなりません。

JUDGMENT DAY (8)

第八話:インテリジェントデザインを検証する
第八話の原文
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ロバート・ミューズ:ビーヒー博士、あなたのご職業は何ですか?
マイケル・ビーヒー:ペンシルバニア州ベツレヘム、リーハイ大学の生物科学部の教授です。
ミューズ:そしてあなたは生化学者ですね?
ビーヒー:その通りです、ええ。
ミューズ:どのくらい大学で教えましたか?
ビーヒー:23年間です。
ミューズ:IDとは何でしょうか?
ビーヒー:IDとは、生命の様相はデザインの結果としてもっともよく説明され、生命におけるデザインの強い兆候は明白でないだけで現実のものだと主張する科学理論です。
ミューズ:IDは宗教的な信念や信仰に基づきますか?
ビーヒー:いいえ。
ミューズ:何に基づきますか?
ビーヒー:観察可能な、経験的な、物質的な自然の証拠に完全に基づきます。加えて論理的な推論に。
ミューズ:あなたが「デザイン」という用語を使うとき、何を意味していますか?
ビーヒー:私はダーウィンのブラックボックスという本で論じました。デザインの簡潔な説明をこの本の9章の引用で説明します:「デザインとは何か?デザインとは単純に、部品の意図的な配置である。目的を果たすために部品が配置されていると私たちが気付いたとき、それはデザインであると見なす。」

弁護側の戦略は、自然選択によって進化したとしては複雑すぎ、したがってそれはデザイナーの産物に違いないと彼らが主張する生物システムの例を判事に説明することでした。

ミューズ:あなたはデザインの生化学上の例を挙げることができますか?ビーヒー博士?
ビーヒー:ええ、次のスライドを見てください。最高の、見た目で分かるもっとも決定的なデザインの例は、細菌の鞭毛と呼ばれるものです。これはアメリカ中の大学で広く使われている教科書から引用した細菌の鞭毛の図です。細菌の鞭毛は文字通りバクテリアが泳ぐために用いる船外機です。その機能を果たすためにいくつかのパーツが秩序正しく揃っています。さてこのパーツが、フィラメントと呼ばれていますが、まさに細菌の鞭毛のプロペラです。このモーターは本当に回転モーターなのです。これを見て、機能を説明されたほとんどの人はこれが目的を果たすために配列されており、したがってデザインを示唆するとすぐに気付きます。

顕微鏡で覗けば、鞭毛で駆動するバクテリアはかなりアクロバチックです。バクテリアたちは鞭のようなフィラメントのおかげでうねり、回転し、[バレエの]ピルエットします。小型モーターによってこのプロペラは動いています。そのモーターは異なる40種類ほどのタンパク質からなる複雑な構造の一種です。

マシュー・チャップマン:細菌の鞭毛はジュール・ベルヌの未来がどうなっているかという概念[notion of what the future looks like]のような感じに似ていますね。奇妙なメカニカルな特徴があります。歯車や波打つしっぽやそんな感じの物があります。

そしてビーヒーによれば、システムからどんな部品一つでも失われれば、モーターは機能しません。ビーヒーはこのようなシステムを彼の造語で「還元不可能な複雑さ」と呼びます。彼はそのようなシステムは自然の中で進化することができなかったと主張しました。

スティーブ・フラー:その概念は、おそらく個体、器官、細胞でさえ、ある意味で、全体を保ったまま登場するしかなかった生命のある側面があると言うことです。言い換えれば、何百万年も何億年かけても、パーツの偶発的な組み合わせからそれらが誕生するとはあり得そうにもないと言うことです。むしろ、ある意味で、全体が丸ごと全部一緒に、いっぺんに作られなければならなかったと言うことです。と言うのも一つのパーツを取り外すだけで機能しなくなるほど全部が一緒に調和しているからです。

ロバート・ミューズ:他の科学者は鞭毛のこのような特徴をデザインであると認めましたか?
ビーヒー:ええ、認めました。次のスライドを見てみましょう…。1998年にデイヴィッド・ドロージャーという男性が非常に評価が高い学術誌Cellに “スクリューの回転:バクテリアの鞭毛モーター”と題された記事を書きました。デイヴィッド・ドロージャーはマサチューセッツのブランダイス大学の生物学教授で、キャリアのほとんどをバクテリアの鞭毛モーターに費やしています。その記事で、「他のモーターよりももっと、鞭毛は人間によってデザインされた装置のようである[More so than other motors, the flagellum resembles a machine designed by a human.]」と述べています。そしてドロージャーはその鞭毛の構造がデザインされたように見えると認めています。

デイヴィッド・ドロージャー:私が書いたのはこうです:「これは人間によってデザインされたかのように見える装置だ」。しかしそれはIDの産物としてデザインされたことを意味しません。はっきり言えば、進化によってできたことを示す目印があります。

電子顕微鏡をもちいて、ドロージャーはこのような不気味な絵を描き、世界でもっとも効率的なモーターと呼ばれたその内部の働きを明らかにしました。

ドロージャー:これはドライブシャフトです。これがモーターによって作り出されたトルクを伝え、プロペラを回し、バクテリア細胞を液体の中で推進させます。

それらが完全に組み建てられるまで自然選択が働くための機能をそのパーツは持っていないので、鞭毛は進化できなかったとマイケル・ビーヒーは主張しました。しかしビーヒーの還元不可能な複雑さを退ける証拠は、もっとも危険なバクテリアの一部の、毒を注入するための小さな注射器で見つかります。

ドロージャー:この構造は例えば線ペストの原因となるYersinia pestisで見つかります。この類似をよく見てください。この構造は回転しません。しかしまだこの構造は拡張されなければなりません[but it still has to extend this structure]。それはこの棒、ドライブシャフトと相同です。

そして二つの構造はある理由で同じように見えます。右の図の注射器は、左の図の鞭毛の基部で見つかるのと全く同じタンパク質の組み合わせでできています。しかし注射器はモーターで見つかるタンパク質を欠いており、そのため回転することができません。完全に病気をうつすための器官として機能します。

ドロージャー:もし私たちがそれを還元不可能に複雑であると考えるなら、論点はこれらのタンパク質の一つを取り外せばこの機構は機能しなくなるだろうと言うことです。しかし機能する機構はここにあります。いくつかのタンパク質を欠きますが、機能し、利用可能なバクテリアの小器官がこれです。本当に、この機構はその意味で、還元不可能に複雑ではありません。

ドロージャーの論点を強調するため、独特のスタイルで主張が行われている法廷にミラーは出廷しました。

ケネス・ミラー:還元不可能な複雑さが意味するものたとえとして、IDの支持者はとても一般的な機械を取り上げるのが好きです。それはネズミ取りです。ネズミ取りは五つの部品からなっています。基盤、バネの抑え、バネ、実際にダーティな仕事をするハンマー、それからエサ台です。これらの五つの部品のどれか一つでも取り外せばネズミ取りは動きません。それは全く正しい。

しかし還元不可能な複雑さの重要な概念を思い出してください。それは全てのパーツが適したところになければ、全体的な機構が全く役に立たないと言うことでした。しかしそれは正しくないことが分かります。その例をお見せしましょう。

ちょうどここに五つのパーツのうち二つを取り外したネズミ取りを持っています。まだ基盤とバネとハンマーが付いています。これではネズミを捕まえられませんから、あまり良いネズミ取りとは言えません。しかしおわかりになるでしょう、パーツが失われているにもかかわらず、ちょっとかっこわるいかも知れませんが、完全なタイピンの機能を持っています。

私たちが還元不可能な複雑さのお好みの例を見るとき、バクテリアの鞭毛は完璧な例ですが、私のネクタイピンと分子レベルで相同な例を見ているのです。この機構に2つ、3つ、4つ、たぶん20個のパーツが欠けていても、進化に有利であり得るという目的を完全に満たしている。ですから、このように還元不可能な複雑さの主張は崩壊します。

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第九話へ続く

ミラーのネクタイピンの例は一見するとこじつけのように感じられるかもしれないので補足。「還元不可能な複雑さ」の主張の中心は、「完全に部品が揃っていなければその機構は全く何の役にも立たず、たまたま偶然そのシステム全体が一度にできあがる確率はゼロに近いので、進化の産物ではあり得ない」という点。バクテリアの注射針およびミラーの例は、「完全に部品が揃っていなければ鞭毛モーターおよびネズミ取りとしては機能しないが、それでも別の用途として役に立っている可能性があるので、自然選択による漸進的な進化の産物であり得る」というもの。

忘却からの帰還のKumicitさんの当該エントリのコメント欄でも参考になるやりとりがあります。
http://transact.seesaa.net/article/112022926.html