JUDGMENT DAY (8)

第八話:インテリジェントデザインを検証する
第八話の原文
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ロバート・ミューズ:ビーヒー博士、あなたのご職業は何ですか?
マイケル・ビーヒー:ペンシルバニア州ベツレヘム、リーハイ大学の生物科学部の教授です。
ミューズ:そしてあなたは生化学者ですね?
ビーヒー:その通りです、ええ。
ミューズ:どのくらい大学で教えましたか?
ビーヒー:23年間です。
ミューズ:IDとは何でしょうか?
ビーヒー:IDとは、生命の様相はデザインの結果としてもっともよく説明され、生命におけるデザインの強い兆候は明白でないだけで現実のものだと主張する科学理論です。
ミューズ:IDは宗教的な信念や信仰に基づきますか?
ビーヒー:いいえ。
ミューズ:何に基づきますか?
ビーヒー:観察可能な、経験的な、物質的な自然の証拠に完全に基づきます。加えて論理的な推論に。
ミューズ:あなたが「デザイン」という用語を使うとき、何を意味していますか?
ビーヒー:私はダーウィンのブラックボックスという本で論じました。デザインの簡潔な説明をこの本の9章の引用で説明します:「デザインとは何か?デザインとは単純に、部品の意図的な配置である。目的を果たすために部品が配置されていると私たちが気付いたとき、それはデザインであると見なす。」

弁護側の戦略は、自然選択によって進化したとしては複雑すぎ、したがってそれはデザイナーの産物に違いないと彼らが主張する生物システムの例を判事に説明することでした。

ミューズ:あなたはデザインの生化学上の例を挙げることができますか?ビーヒー博士?
ビーヒー:ええ、次のスライドを見てください。最高の、見た目で分かるもっとも決定的なデザインの例は、細菌の鞭毛と呼ばれるものです。これはアメリカ中の大学で広く使われている教科書から引用した細菌の鞭毛の図です。細菌の鞭毛は文字通りバクテリアが泳ぐために用いる船外機です。その機能を果たすためにいくつかのパーツが秩序正しく揃っています。さてこのパーツが、フィラメントと呼ばれていますが、まさに細菌の鞭毛のプロペラです。このモーターは本当に回転モーターなのです。これを見て、機能を説明されたほとんどの人はこれが目的を果たすために配列されており、したがってデザインを示唆するとすぐに気付きます。

顕微鏡で覗けば、鞭毛で駆動するバクテリアはかなりアクロバチックです。バクテリアたちは鞭のようなフィラメントのおかげでうねり、回転し、[バレエの]ピルエットします。小型モーターによってこのプロペラは動いています。そのモーターは異なる40種類ほどのタンパク質からなる複雑な構造の一種です。

マシュー・チャップマン:細菌の鞭毛はジュール・ベルヌの未来がどうなっているかという概念[notion of what the future looks like]のような感じに似ていますね。奇妙なメカニカルな特徴があります。歯車や波打つしっぽやそんな感じの物があります。

そしてビーヒーによれば、システムからどんな部品一つでも失われれば、モーターは機能しません。ビーヒーはこのようなシステムを彼の造語で「還元不可能な複雑さ」と呼びます。彼はそのようなシステムは自然の中で進化することができなかったと主張しました。

スティーブ・フラー:その概念は、おそらく個体、器官、細胞でさえ、ある意味で、全体を保ったまま登場するしかなかった生命のある側面があると言うことです。言い換えれば、何百万年も何億年かけても、パーツの偶発的な組み合わせからそれらが誕生するとはあり得そうにもないと言うことです。むしろ、ある意味で、全体が丸ごと全部一緒に、いっぺんに作られなければならなかったと言うことです。と言うのも一つのパーツを取り外すだけで機能しなくなるほど全部が一緒に調和しているからです。

ロバート・ミューズ:他の科学者は鞭毛のこのような特徴をデザインであると認めましたか?
ビーヒー:ええ、認めました。次のスライドを見てみましょう…。1998年にデイヴィッド・ドロージャーという男性が非常に評価が高い学術誌Cellに “スクリューの回転:バクテリアの鞭毛モーター”と題された記事を書きました。デイヴィッド・ドロージャーはマサチューセッツのブランダイス大学の生物学教授で、キャリアのほとんどをバクテリアの鞭毛モーターに費やしています。その記事で、「他のモーターよりももっと、鞭毛は人間によってデザインされた装置のようである[More so than other motors, the flagellum resembles a machine designed by a human.]」と述べています。そしてドロージャーはその鞭毛の構造がデザインされたように見えると認めています。

デイヴィッド・ドロージャー:私が書いたのはこうです:「これは人間によってデザインされたかのように見える装置だ」。しかしそれはIDの産物としてデザインされたことを意味しません。はっきり言えば、進化によってできたことを示す目印があります。

電子顕微鏡をもちいて、ドロージャーはこのような不気味な絵を描き、世界でもっとも効率的なモーターと呼ばれたその内部の働きを明らかにしました。

ドロージャー:これはドライブシャフトです。これがモーターによって作り出されたトルクを伝え、プロペラを回し、バクテリア細胞を液体の中で推進させます。

それらが完全に組み建てられるまで自然選択が働くための機能をそのパーツは持っていないので、鞭毛は進化できなかったとマイケル・ビーヒーは主張しました。しかしビーヒーの還元不可能な複雑さを退ける証拠は、もっとも危険なバクテリアの一部の、毒を注入するための小さな注射器で見つかります。

ドロージャー:この構造は例えば線ペストの原因となるYersinia pestisで見つかります。この類似をよく見てください。この構造は回転しません。しかしまだこの構造は拡張されなければなりません[but it still has to extend this structure]。それはこの棒、ドライブシャフトと相同です。

そして二つの構造はある理由で同じように見えます。右の図の注射器は、左の図の鞭毛の基部で見つかるのと全く同じタンパク質の組み合わせでできています。しかし注射器はモーターで見つかるタンパク質を欠いており、そのため回転することができません。完全に病気をうつすための器官として機能します。

ドロージャー:もし私たちがそれを還元不可能に複雑であると考えるなら、論点はこれらのタンパク質の一つを取り外せばこの機構は機能しなくなるだろうと言うことです。しかし機能する機構はここにあります。いくつかのタンパク質を欠きますが、機能し、利用可能なバクテリアの小器官がこれです。本当に、この機構はその意味で、還元不可能に複雑ではありません。

ドロージャーの論点を強調するため、独特のスタイルで主張が行われている法廷にミラーは出廷しました。

ケネス・ミラー:還元不可能な複雑さが意味するものたとえとして、IDの支持者はとても一般的な機械を取り上げるのが好きです。それはネズミ取りです。ネズミ取りは五つの部品からなっています。基盤、バネの抑え、バネ、実際にダーティな仕事をするハンマー、それからエサ台です。これらの五つの部品のどれか一つでも取り外せばネズミ取りは動きません。それは全く正しい。

しかし還元不可能な複雑さの重要な概念を思い出してください。それは全てのパーツが適したところになければ、全体的な機構が全く役に立たないと言うことでした。しかしそれは正しくないことが分かります。その例をお見せしましょう。

ちょうどここに五つのパーツのうち二つを取り外したネズミ取りを持っています。まだ基盤とバネとハンマーが付いています。これではネズミを捕まえられませんから、あまり良いネズミ取りとは言えません。しかしおわかりになるでしょう、パーツが失われているにもかかわらず、ちょっとかっこわるいかも知れませんが、完全なタイピンの機能を持っています。

私たちが還元不可能な複雑さのお好みの例を見るとき、バクテリアの鞭毛は完璧な例ですが、私のネクタイピンと分子レベルで相同な例を見ているのです。この機構に2つ、3つ、4つ、たぶん20個のパーツが欠けていても、進化に有利であり得るという目的を完全に満たしている。ですから、このように還元不可能な複雑さの主張は崩壊します。

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第九話へ続く

ミラーのネクタイピンの例は一見するとこじつけのように感じられるかもしれないので補足。「還元不可能な複雑さ」の主張の中心は、「完全に部品が揃っていなければその機構は全く何の役にも立たず、たまたま偶然そのシステム全体が一度にできあがる確率はゼロに近いので、進化の産物ではあり得ない」という点。バクテリアの注射針およびミラーの例は、「完全に部品が揃っていなければ鞭毛モーターおよびネズミ取りとしては機能しないが、それでも別の用途として役に立っている可能性があるので、自然選択による漸進的な進化の産物であり得る」というもの。

忘却からの帰還のKumicitさんの当該エントリのコメント欄でも参考になるやりとりがあります。
http://transact.seesaa.net/article/112022926.html

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コメント / トラックバック2件

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